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INTERVIEW Vol.9

戦略を定め神風が吹くまで継続せよ

出演:13万人登録会計士YouTuber いのちゃん先生

はじめに

公認会計士として独立し、YouTube登録者数13万人超を達成し、補助金・財務コンサルティングの分野で大きな成果を上げ続けているのが井下さんです。

本記事では、井下さんとの対談をもとに、結果を出し続けるための考え方、継続できる人と挫折する人の違い、YouTubeやビジネスを続ける本当の理由、そしてこれから独立する士業が狙うべき領域について、丁寧に解説します。

会計士という肩書きに縛られない姿勢

井下さんは、会計士という資格そのものに強いこだわりを持っていないと語っています。多くの士業は、長年の受験勉強や努力によって得た資格に執着し、その枠内でしか仕事を考えられなくなりがちです。しかし井下さんは、その考え方がチャンスを狭めていると指摘します。

井下さんが仕事を選ぶ際の基準は、非常にシンプルです。公序良俗に反せず、人に迷惑をかけないこと。顧客から求められ、感謝されること。そして、しっかりと利益が出ることです。この3つの条件を満たすのであれば、会計や税務に限定する必要はないという考え方です。補助金支援や不動産投資、事業計画や資金調達など、会計士としての知識を「肩書き」ではなく「武器」として活用しながら、より大きな価値を生む領域へと踏み込んできました。

補助金ビジネスが再び注目されている理由

現在、独立直後の士業が取り組む分野として、井下さんが特に勧めているのが補助金です。近年は、人手不足の解消や生産性向上を目的とした補助金が増えており、中小企業であっても数百万円から数千万円規模の補助金が採択されるケースが珍しくありません。採択率も比較的高く、適切な事業計画を作成できれば、十分に勝負できる分野です。

成功報酬型であれば、1件あたりの報酬が大きく、少ない案件数でも高い収益を確保できます。井下さん自身も相場より高めの報酬率を設定していますが、それでも依頼が途切れることはありません。

ただし重要なのは、補助金ありきで話を進めないことです。事業として成立しない投資や、将来的に赤字が見込まれる計画については、たとえ補助金が出るとしても勧めない姿勢を貫いています。短期的な利益よりも、クライアントの将来を優先する判断が、信頼と継続的な依頼につながっています。

M&Aと事業承継は今後さらに拡大する分野

井下さんは、もし今ゼロから分野を選ぶのであれば、M&Aや事業承継に注力すると語っています。中小企業の後継者不足は深刻であり、この問題は今後ますます顕在化していくと見られています。事業承継と補助金は相性が良く、承継後の設備投資や事業再編と組み合わせることで、より高い価値提供が可能になります。会計士や税理士の専門知識が、最も生きる領域の一つといえるでしょう。

なぜ多くの人はYouTubeを続けられないのか

井下さんは、士業全般に共通する課題として、勉強はできるが、マーケティングが苦手な人が多い点を指摘します。資格試験は正解が明確で、努力すれば結果が出る世界です。一方、YouTubeやマーケティングには明確な正解がありません。動画を出しても再生回数は伸びず、何が当たるかは誰にも分かりません。この不確実性に耐えられず、多くの人が途中でやめてしまいます。

井下さんはマーケティングを「当たりくじが出るまで引き続けるゲーム」に例えています。数を打たなければ、当たりは決して出ません。

神風は続けた人にしか吹かない

井下さんが繰り返し語る考え方が、神風が吹くまで続けるという姿勢です。続けていれば、ある日突然、想像を超える再生数や反響に恵まれる瞬間が訪れます。しかし、その神風は、続けている人にしか吹きません。多くの人は、成果が出ない低迷期という泥水をすすり続ける期間に耐えられず、風が吹く直前で離脱してしまいます。

井下さん自身も、過去最高の再生回数を記録したのは、YouTubeを始めてから6年以上経った後でした。一度大きな成功体験を味わうと、その圧倒的なリターンが忘れられなくなります。それが、継続を支える原動力になります。

継続できる人と挫折する人の違い

継続できる人には、いくつかの共通点があります。自分を過大評価しないこと。不要なプライドを捨てられること。生活の最優先事項を一つに定めていることです。

井下さんは、自分を決して優秀だとは考えていないと語ります。だからこそ、最初から成果が出なくて当たり前という前提で、淡々と続けることができています。また、会計士という肩書きに縛られず、視聴者の目に留まるために必要だと判断すれば、どのような表現やスタイルも取り入れます。見られなければ、存在しないのと同じだという冷静な認識があります。

人は環境によって引き上げられる

井下さんは、自分よりも結果を出している人しかいない環境に身を置くことを意識しています。周囲が圧倒的な成果を上げていれば、現状に満足している暇はありません。

高額な費用がかかるコミュニティであっても、本物とつながれるのであれば、安い自己投資だと考えています。収入や価値観は、付き合う人によって大きく左右されます。環境を意図的に選ぶことが、成長を大きく加速させるのです。

最後に伝えたいこと

井下さんが最後に強調したのは、不動産投資の重要性でした。特に、与信があるうちに都心の不動産を保有することは、将来に向けた大きな選択肢になります。士業でキャッシュフローを作り、その資金を元に資産を形成する。徐々に労働から投資へと軸足を移していくことが、長期的には安定した人生につながります。

これは簡単な道ではありません。しかし、明確なビジョンを持ち、愚直に続けた人だけが到達できる世界でもあります。努力は必ず報われるとは限りません。しかし、努力を続けた人にしか、神風は吹かないのです。