独立するなら領域を絞ってSNSを強化すべし!
web3×スタートアップ×ファイナンスの水地さん登場
はじめに
「独立会計士名鑑」は、日本国内で活躍する独立会計士100名にインタビューし、そのキャリアや専門領域、独立のリアルを紹介する企画です。独立を検討している会計士や、専門家を探している企業にとって、実践的なヒントや出会いのきっかけを提供します。
第1回は、Web3やスタートアップ領域に特化し、資金調達やM&A支援で活躍する会計士・水地さんにお話を伺いました。
キャリアの歩み
水地さんは2007年に監査法人へ入所し、翌年公認会計士試験に合格しました。約15年間ファームに在籍し、IPO監査やM&A、ファイナンス支援など幅広い業務を経験。さらに事業会社への出向や経済産業省での勤務を通じて、官民両方の視点を身につけました。2022年、満を持して独立を果たします。
独立のきっかけ
独立を決意した理由は二つあります。一つは、成長の頭打ちを感じたこと。長年の経験で仕事に慣れ、1年で得られる知識やスキルが減ってきたと感じ、新しい挑戦を選びました。もう一つは、辞めても生きていけるという自信。マネージャーまで経験していたこともあり、独立後の生活に不安はありませんでした。
さらに、円満退職のために半年以上前から退職意向を伝えたという配慮も印象的です。監査法人では公的機関や上場企業への出向枠の調整が秋から冬に行われるため、早めに伝えることで組織に迷惑をかけないようにしたそうです。
独立後の戦略
独立に向けて、退職を決めた半年ほど前からSNSで情報発信を開始しました。XでWeb3やスタートアップ領域の会計・ファイナンス論点を整理し投稿したところ、フォロワーが増え、案件獲得につながりました。
当時、仮想通貨の税務に強い専門家は多かったものの、Web3企業のファイナンスやIPO支援に特化した会計士はほとんどいませんでした。そこにブルーオーシャンを見出し、専門性を磨いたことが成功の鍵となりました。
独立のリアル:メリットとデメリット
独立の最大のメリットは自由です。意思決定が速く、ファーム時代なら数週間かかる受注審査も、独立後は即答できます。自分の責任で仕事を完結できることも魅力です。
一方で、大手企業案件は難しくなります。ファームの看板がなくなると、取引先は中小企業やスタートアップが中心になります。また、孤独感を感じることもあります。そのため、独立会計士同士のコミュニティが重要です。
専門領域と強み
水地さんの専門はファイナンス全般です。エクイティファイナンス、デッドファイナンス、トークンファイナンス、NFTを活用した資金調達など幅広く対応します。
特に、既存投資家と新規投資家の利害調整や、M&Aでの価格交渉、契約条件の設計など、複雑な要素を整理して全員が納得する落としどころを作るディール設計に強みがあります。会計処理や税務、インセンティブ設計まで含めた総合的な支援が可能です。
今後やりたいこと
今後もファイナンス領域に注力したいと語ります。エクイティ、デッド、トークン、NFTなど、資金調達の新しい形を支援し、企業の成長を後押しすることに強い興味があります。
独立を考えている人へのメッセージ
会計士なら誰でも独立できるスペックを持っています。問題はどちらが好きかということ。大手企業案件をやりたいならファーム、自由とスピードを求めるなら独立。水地さん自身は独立して本当に良かったと感じているそうです。