AIで経理は95%自動化できる!?
ベンチャーキャピタルから資金調達してIPOを目指す会計士の中谷さん登場
はじめに
会計士としてキャリアを積んだ後、独立してスタートアップを立ち上げる人は決して多くありません。しかし、監査法人での経験を武器に、AIを活用した経理代行サービス「Bizサポ」を展開し、IPOを目指す起業家がいます。今回は、監査法人勤務からわずか三年で独立し、ベンチャーキャピタルから資金調達を成功させた中谷さんの挑戦を紹介します。
キャリアの転換点
2018年に会計士試験に合格後、監査法人に入社しました。約三年間勤務した後、スタッフの段階で退職します。給料が上がると辞めづらくなるというリスクを避けるためでした。2022年に独立し、非常勤監査で収入を確保しながら起業準備を進めます。
当初は監査法人向けのSaaS事業を構想しましたが、約4か月間でベンチャーキャピタル40社と話しても成果はゼロ。資金調達もできず、会社の存続はあと1~2か月という危機的状況に陥りました。そこで決断したのが事業のピボットです。
ピボットで見えた市場規模の重要性
監査法人向けSaaSは需要が限定的で、市場規模が小さいことが投資家から指摘されました。そこで方向転換し、AIを活用した経理代行サービスに着手します。わずか2週間で投資家から前向きな反応があり、5社程度の面談で出資が決定しました。
市場規模は投資家を説得する上で避けられない要素です。経理代行は圧倒的に大きな市場を持ち、スケールの可能性が高いことが評価されました。
資金調達のリアル
シード期の資金調達は営業と同じです。中谷さんはXでベンチャーキャピタルを検索し、DMで営業文を送るという方法を採用しました。100件送れば40件程度は話を聞いてもらえるという実感があったそうです。その後はZoomでピッチを行い、投資委員会での審査を経て契約締結、資金振込という流れで調達を実現しました。
Bizサポの特徴
Bizサポは、AIを活用して経理業務を大幅に効率化し、95%の削減を目指す革新的なサービスです。請求書の発行や入金管理、支払処理、給与計算といった煩雑な業務を一括で代行し、税務には対応していないものの、税理士との連携が可能なため、企業の経理体制をスムーズに整えることができます。料金は月額約3万円と、一般的な経理代行サービスの半額以下というコストパフォーマンスも魅力です。
最大の特徴は、AIによる自動化と会計士によるレビューを組み合わせることで、品質を担保しながら手作業を徹底的に減らす点です。例えば、資料が不足している場合にはAIが自動で判断し、Slackを通じて追加依頼を送信。さらに、請求書の受領から振込準備までを自律的に処理する仕組みを備えています。こうした仕組みにより、将来的には一人の従業員が100社、200社を担当できる世界を目指しており、その第一歩が「経理業務95%削減」です。
技術の裏側
一般的なAI経理は領収書を読み込んで仕訳を作るレベルですが、Bizサポはさらに進化しています。不備のある請求書を検知し、追加資料を依頼、回収、データ反映までAIが自律的に実行します。振込準備もネットバンキングで承認前まで完了します。
この仕組みを支えるのは、某大手SaaS企業の創業期メンバーという超優秀なエンジニアです。初期開発メンバーが参画したことで、技術力に大きな強みを持っています。
IPOを目指す理由
中谷さんがIPOを目指す理由は、社会的インパクトを最大化するためです。世の中の課題を解決し、スケールさせることが楽しいと話しています。監査法人時代の経験も活きています。監査基準や内部統制の知識はサービス設計に反映され、激務耐性は起業家としてのタフさに直結しました。
どんな企業におすすめか
正社員が5名以上になり、経理業務が複雑化してきた企業に最適です。顧問税理士はいるが、振込や請求書管理、給与計算などが負担になっている企業に特におすすめです。Bizサポは税理士との連携もスムーズで、仕訳が整った状態で渡せるため、税理士からも歓迎されています。