仮想通貨の分離課税は202●年になる!
仮想通貨の確定申告に特化した「魔界の税理士」村上さん登場
はじめに
独立会計士名鑑では、独立した会計士や税理士のリアルな声を届けるため、100名へのインタビューを予定しています。第2回は、仮想通貨税務に特化し「魔界の税理士」として活動する村上氏にお話を伺いました。EYでのキャリアから独立のきっかけ、仮想通貨税務の現状、そして今後の展望まで、詳細に紹介します。
魔界の税理士という名前の理由
「魔界」という名前には、2021年の仮想通貨ブームが背景にあります。DeFiやNFT、ブロックチェーンゲームが急成長し、STEPNなど「歩くだけで稼げる」サービスも話題になりました。当時はAPR(年利)が数億%という異常な利回りを誇るコインも存在し、複雑な損益計算が必要でした。こうした難解な計算に対応できる税理士という意味を込めて「魔界の税理士」と名乗ったそうです。
仮想通貨税務に特化した理由
村上氏は2020年に独立。当初は一般的な税務を扱っていましたが、独立後すぐに方向転換。SNSで「仮想通貨の税金がわからない」という声を多数見つけ、専門分野として仮想通貨税務に特化しました。2021年にはSEO戦略が功を奏し、仮想通貨の確定申告だけで約100件を対応。以降、累計で300~400件の申告を手掛けています。
仮想通貨税務の難しさと料金
最大の課題は損益計算です。国内取引所のみなら簡単ですが、海外取引所やDEX、複数ウォレットを使うケースでは計算が非常に複雑になります。料金は10万円未満から100万円超まで幅広く、取引量や難易度によって変動します。年間取引が10万件を超える場合、損益計算だけで数十万円になることもあります。
税制改正の行方
現状、仮想通貨は資金決済法に基づく決済手段扱いです。これを金融商品取引法に移す必要があり、最短で2026年頃と予想されています。その後、分離課税導入は2027~2028年が目安です。ただし、海外取引所やDEXの扱いが課題で、議論は難航する可能性があります。最悪の場合、特定口座のみ分離課税、その他は総合課税というシナリオもあり得ます。
独立のきっかけとキャリア
村上氏は2007年に公認会計士試験に合格し、EYに入社。8年間勤務した後、メーカーの経理に転職し、連結決算やファイナンスを担当しました。その後、会計事務所で税務経験を積み、2020年に独立。独立の決め手は、ホワイト企業であっても長期的に続けるのは難しいと感じたこと、そして友人の独立成功事例からの刺激でした。
集客戦略:SEOとYouTube
SEO対策では専門家を月額固定で雇い、キーワード選定や順位モニタリングを徹底。「仮想通貨 税理士」で検索上位を獲得しました。YouTubeも活用し、登録者数は少なくてもターゲット層に響けば問い合わせに直結。現在は約7,000人の登録者を持ち、集客に成功しています。
独立のメリットとリスク
独立のメリットは時間の自由、収入増、やりがいです。一方で、税務責任の重さや損害賠償リスク、精神的プレッシャーも伴います。特に消費税の判定や申告漏れは大きなリスクであり、慎重な対応が求められます。
今後の展望
仮想通貨税務の需要減少を見越し、マレーシアやドバイなどへの海外移住支援サービスを計画中です。ビザ手配から税務までワンストップで対応し、顧客に新たな価値を提供することを目指しています。